第三層
竜族と魔族
第三層に暮らすもの
竜族
美しい容姿と強大な魔力を持つ。第三層奥地に棲んでいたとされる極少数の戦闘特化種族。人間でいう成人前後まで身体が成長すると老いることはないが、不死ではない。その身体は丈夫で治癒能力は高い。しかし傷は癒えても体力は無限ではない。人間と同様睡眠が不可欠であり、体力が極端に減少すると強烈な睡魔に襲われる。
外見は一見人の見た目をしているが、生体は全く異なる。食事はせず、水分と水分に代わる果物や酒を全てエネルギーとして媒体するため排泄機能がない。固形物は摂取できない訳ではないが、消化機能が限られているため消化に時間がかかり、気分不良等を起こすことがある。出血多量など身体から水分が減ると命に関わり、飢餓感に襲われる。
竜が人の姿を模倣して進化したとされ、性別の概念は無いに等しいが本能的な生殖行動だけは残り、発情期もある。しかし子を宿すことはできず、死の瞬間自分の存在を赤子の姿に再構築し、対価として大半の記憶を失う事で力を引き継ぐことが可能である。
エレンの2体という特例を除いては、1体の子孫しか残す事はできないため、古より一定の個体数を維持している。本来の住処である第三層では高貴な存在とされ、魔族の上流貴族以上の地位が与えられるが、大多数が既に各地へ散ってしまっている。第二層では強大な力故恐れられる存在だが、第一層では力の象徴とされている。
半竜化能力
竜族は身体の半分を鱗で覆い、角と尾、かぎ爪のついた手足に羽のような髪、竜の翼のある姿に変身する。この姿になってはじめて魔力を最大限発揮できるため、この姿こそが本来の姿である。魔力とは別に個々特有の色と特異能力を持ち、その能力は死後引き継いでも変容しない。
竜族の生体
<竜族のエネルギー消化吸収>
・固形物を摂取した際一定時間胃に貯蔵され、小腸にて徐々に吸収が行われる。
人間の場合残った食物を便として形成するが、排泄機能のない竜族では全て消化する必要がある。
加えて胃の容量・消化液の分泌量が人間より少ないため消化に要する時間も長い。
貯蓄できる量も限られるため満腹感も早く訪れる。
人間と同等の量を摂取することは極めて難しく、胃のムカつきや不快感にも繋がる。
食物に含まれる水分は吸収できるが、竜族が固形物を摂取するメリットは味わう事くらいだと言える。
消化不可能な物質を摂取したり、固形物を過度に摂取すると嘔気・嘔吐が誘発される。
・本来のエネルギー源である液体を摂取した場合、主に大腸にて吸収が行われる。
エネルギーとして変換するのも大腸であり、人間で云う蠕動運動のような活動をしながら、徐々に吸収し栄養素をつくる。
<竜族の肝機能>
・ヒトの肝臓の働きは物質の代謝、解毒、胆汁の生成の3つが挙げられるが、竜族の場合は以下の働きを担う。
①凝固因子の生成
②解毒(所謂細菌などの有害物質の無毒化)
これらの働きはヒトよりも優れており、毒物や感染に侵される事はなく、異常な肉体再生能力を持つ。
アルコールでも酔うことはないが、唯一世界樹の樹皮から作られる神酒でのみ酔ったような状態になることが確認されている。
<竜族の生殖的行動>
・竜族はヒトや他の動物と違い、子孫を遺し遺伝情報を受け継ぐ事ができない。
・性器の形状はヒトと変わりないが、生殖機能は不完全である。
具体的には、男体では精子の生産が行われず、女体の場合は排卵・受精・着床・出産を行う能力がない。
・竜族にもリビドー(性衝動Livido)は存在し、フェティシズムも個体によって異なるが性差の認識は殆どの竜族が抱かないと言われている。
・他にも竜族は周期的にリビドーが発生することがある。(俗に云う発情期)
その際は闘争や睡眠等他の欲求を満たす事で静まることはあるが、生殖に結びつかない性行動を取る方が手っ取り早い。
基本的には性欲よりも闘争本能の方が強いが、性行動に抵抗を感じることもない。
・これらの欠落は、古代に人間の姿を模した竜族という種が誕生した際、人間の全ての機能を模倣することができず、そのまま独自に種を遺す方法を編み出したからだと言われている。
魔族
紫の瞳、頭蓋骨が突出した角にコウモリを思わせる羽、細い尾が特徴。第三層はジャーマという炎に包まれた大地と、イエロという氷に覆われた大地に分かれており、全体に世界樹の根が蔓延っている。両方の大地が混在する中心部には転移門があり、過酷な環境故、転移クリスタルを持つもの以外近寄ることは稀である。人型は魔人、異形のものを魔獣という。
ジャーマ地方は代々メスティ家の者が統治しており、家長は純粋な血筋の者が継いでいる。人間と契約し力を使うタイプの種が多い。
イエロ地方は魔術の知識に長けた種が多く、能力主義が根付いている。レイと呼ばれる王は優秀な強者が集められたリリ家から選ばれる。
眷属
竜族は一度に一体のみ自らの力を分けた眷属を持つことが可能である。種族は問わないが最も相性の良い魔族を選ぶのが一般的であり、魔族の中には代々眷属として竜族と共にある血筋も存在する。
眷属化は契約によって為されるものではなく、竜族の近くにいる者が自然と影響を受け眷属化することがあるというものである。勿論竜族との力の相性が非常に良好でなければ眷属化することはなく、対象の意思は全く影響しない。
眷属化した場合本人の自覚に関わらず、力を得た瞬間身体の時が止まる。眷属は生死も共にあり、竜族が死亡した場合眷属も死亡するが、逆に眷属が死亡した場合竜族が死ぬことはない。
"眷属の能力"というのは、竜族の特異能力をそのまま得るという訳ではない。似通った能力を得るだけであり、極端に戦闘能力が向上するというわけでもない。例を上げるとすれば、タルトゥの眷属ネヴァンは武器を具現化できるわけではなく性別・姿を自在に変化させられるという特異能力を得た。また結界や盾を生み出す竜族ラッセルの眷属キールは、受けた攻撃をそのまま跳ね返すカウンターの能力を得た。彼らのように竜族の能力というより、本人の気質に影響を受けることが多い。